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諫早建設の日常辻ブログ

2016/07/09

熊本地震視察

今週月・火曜日の2日間、社員全員と構造設計士で当社顧問の小室先生とで熊本の被災地を視察させてもらいました。
目的は2つ。
1.当社の耐震設計の検証
2.万一当社の施工エリアで震災が発生した場合の準備と対応

炎天下に、皆徒歩で被災地を回りました。

1日目は空港に着いた後すぐに益城町に入りました。
ここは私が5月に訪れた場所ですが、路上のがれきや道路の補修は進み、車両はほとんど通行できるようになっていましたが、各家屋の解体やがれき撤去はあまり進んでおらず、工事中の現場はかなり少なく感じました。
同業で作業されている方々に休憩中お話を数件伺いましたが、周辺市町村に比べ益城は対応が遅れており、ようやく今週から公費で解体作業を進めていくところでした。

2日目は熊本市内及び西原村に行きました。
5月にはRC造の全壊・半壊現場がありましたが、多くが解体作業を始めており、復興が始まっている感触を得ました。
そして西原村も公費による解体が進んでいるようで、工事関係の方々にも色々お話しを伺えました。

両日、視察後ホテルや公民館の会議室を借りてそれぞれ2時間ほどの視察検証を行いました。

そして「耐震」を考えるにあたり3つのカテゴリーに分けて議論しました。

地盤
耐震設計
材料

地盤
益城町は川に向かう軽い傾斜地で盛土しているとみられる場所が多くありました。
そこで建物は正常でも地盤が動くことで危険になっている建物が多く、地盤改良している建物との大きな差を感じました。
地盤改良は多額の費用が掛かりますが、調査及び改良の判断を適正に判断する力が大切であると感じました。

耐震設計
益城町で新しい建物でも倒壊している家屋を見ました。しかし隣地の建物は問題なさそうです。
倒壊の要因の一つとして考えられるのが下屋です。
下屋とは2階建てで2階部分がのっていない1階部分。
そこには通し柱が入れにくい場所になるため構造のバランスが悪くなりやすい。
その他にも筋交いの位置や構造壁の量に問題が指摘されました。

現在日本の2階建ての建物は原則法律上構造計算(許容応力度計算)を必要としません。
構造壁量と引抜きのN値計算のみで建築確認が取れるので、構造設計のプロの目を通さなくても建物は完成してしまいます。
ここで大切なことは構造のバランス。
いくら構造用合板や筋交いで固めても下屋の部分等弱いところを補強し構造上バランスの良い建物にしなければ倒壊に繋がります。

現在、当社は1棟1棟すべての建物において構造設計士による構造計算(許容応力度計算)を行い、地盤についても改良の有無を当社設計のチェックに加え、構造設計士のチェックを受けています。
小室先生もその構造設計士の一人ですが、2日間の視察においては当社での構造設計基準で問題になるような事例は特段ないとのことでした。

材料
飛行機から熊本空港周辺の家屋を見るとそのほとんどの屋根にブルーシートがかかっていました。
これは瓦の落下による雨漏りがほとんどの原因です。
軽い素材を使った家屋についてはそれほど被害が見られませんでした。
構造の検証でも屋根材の重量が建物の揺れに大きく関係があることから屋根材の軽量化は必須です。
当社では耐久性・意匠性にも優れたガルバニウム鋼板を標準仕様にしています。
建売等で使われているコロニアルよりもコストは上がりますが、採用は間違いなかったと感じました。
ほかにも基礎や構造材について多く検証できました。

今回の視察中の検証では目的1しか検証できませんでしたが、今月を目途に目的2の震災対策について社内で結論付け準備実行していきたいと思います。

最後に被災された皆様にお見舞い申し上げます。
また、皆様がご苦労されている時期に視察させて頂き心苦しく申し訳ありませんでした。
ただ、この視察で学んだことを必ず我々地域の方々に役立つよう務めてまいります。