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諫早建設の日常酒井ブログ

2018/10/20

秋山和慶はエラかった!

先週の土曜日、3つの音楽大学(武蔵野音大、洗足音大、昭和音大)によるコンサートに行ってきました。
3大学がそれぞれシンフォニー級の曲を一曲づつ演奏する、という企画で、本来であれば昨年開催される予定だったものが、あの大震災で延期になっていたそうです。
一曲目は武蔵野音大によるショスタコーヴィッチの交響曲第5番、二曲目は昭和音大によるデュカの「三角帽子」全曲、そして最後が武蔵野音大のベルリオーズの「幻想交響曲」でした。
コンサートのプログラムとしては聴く方としても結構ヘビーな内容です。
一曲目、二曲目とそれなりに進み、一曲目では第一楽章でホルンがハイトーンが一発で当たらず、これが「プロ」と音大生とは言え「プロ前」との違いかなあ、と思った次第でした。

ハイライトは最後の「幻想」でした。
ちょうど第三楽章の半ばに差し掛かったところで、どうも椅子が揺れているような気がする。一瞬、後ろの人が椅子を蹴っているのかと思った途端、ずーーんという突きあげるような縦揺れが。
聴衆も気がつき、あちこちで「地震・・・・・」というささやき声でざわざわ・・・
私的にはかなりの揺れのように感じたので、指揮者の秋山和慶が演奏を止めると思って舞台を見ると、ほんの一瞬、躊躇したように見えたのですがそのまま演奏を続けました。
聴衆もそして舞台の楽員も誰一人として席を立つ者もなく、そのまま演奏が続行されました。
次の楽章が「断頭台への行進」というのも何かのいたずらか。

その後、フィナーレに向かって聴衆も楽員もなんだか高揚して行くのが感じられて、最終楽章では頂点に達し、演奏が終わったとたんに「ブラボー!!!」の大声援と大きな拍手。
それまでの大学が何とはなしに淡々と演奏を終えたのとは対照的に大興奮の内に曲が終了しました。
思わず映画「グレンミラー物語」の一場面(グレンミラー楽団が戦地に慰問に行き、野外で演奏をしている最中にドイツ軍の爆撃機が襲来。すぐ近くに爆弾を一発落としたのだが聴衆が逃げ惑う中、楽員はそのまま演奏を続け大喝采を受ける)を思い出したのは私だけでしょうか。

これは指揮が秋山だったからなのか、演奏そのものも良かったのですが、、地震以降尻上がりに舞台も客席も一体となって興奮状態になった感じでした。
やはり地震というアクシデントにも関わらず、演奏を続けた楽員たちへの聴衆のシンパシーが成せるワザだったのだと思います。
もしも秋山和慶が演奏を止めていたら聴衆も不安になって出口に向かう人も出たのではないかとも思いました。
そういう意味でもあの時の指揮者を始めとする楽員達は皆、素晴らしかった、とつくづく思うのでした。