諫早建設の日常酒井ブログ
2020/12/31
年末の「恒例」となった「第九」。
ご多分に漏れず、異例の開催となった。
画面を見ると、聴衆の数がかなり制限されているのはもちろんのこと、プレイヤーの数も大分少なくなっていた。
分かり易いのは合唱の人数。通常であればオーケストラの後ろを全て埋め尽くすほどの人数なのに、今回はその半分以下に見えた。
ただ、その分、オケの弦楽器の人数も少なかったのでバランス的にはそれほど違和感はなかった。とは言ってもTVの場合はミキシングでどうにでもなってしまうので、実際にホールで聴いていたらどうだったのか・・・・。
随分前に妻と行ったスペシャルなコンサート。
ズービン・メータ指揮のイスラエル・フィルのコンサート。
プログラムは「春の祭典」とマーラーの「巨人」。
通常ではありえないプログラムだったのだけれど、驚いたのはその「音圧」。
実はこのプログラムだと普通、弦楽器の編成はかなり大きく、要は「最大」になることが多い。
処が、そのコンサートではむしろ控えめな、普通のシンフォニー程度の人数での演奏だった。
で、「こりゃあケチったのかな」という、かなりの不安感の中で開演。
が、始まってすぐにぶったまげたのが、前述した「音圧」の凄さ。
この人数では絶対にありえないような、弦楽器の音量がドッカン!ドッカン!!迫ってくる。
「ナンデ????」という疑問もすぐに解けた。
要はピッチ(微妙な音程)とアインザッツ(音を出すタイミング)がビッタリ!合っていれば、少ない人数でも信じられないような「音圧」=「音量」が出てくる、と、いうこと。
実際、各プレイヤーは特に一所懸命にガリガリ弾いている、という事も無く、涼しい顔をして実に軽々と弾いている。
そもそも「イスラエルフィル」の弦楽器群は、「屋根の上野バイオリン弾き」でも知られるように、弦楽器に堪能なユダヤ人が中心で、世界屈指の、というよりも世界一のクウォリティ―を誇る。
で、今回のN響の「第九」の合唱もイスラエル・フィルとは行かないまでもそこそこの音量が出ていたのではないか、と想像する。
今後は今回のコロナを糧に、徒にプレイヤーの数を増やして「威嚇」するよりも、人数を極限まで減らして精緻なアンサンブルを聴かせるようになるのではないか、むしろそうなって欲しい!と、感じた次第です。