INTERVIEW

DATA

所在地
東京都小金井市
家族構成
5人家族
登場人物
O様、奥様、酒井、高嶋、浦田

大切にしたのは高級感でもなく、バリアフリーの専門性だけでもなく…

障がいを持つ長女が寂しさを感じない、家族みんなが笑顔で暮らせる過ごしやすい家。

今回のご家族はご主人・奥様とお子様3人の5人家族。
生まれつきの障がいをお持ちの長女のEさんが寂しさを感じない間取り、車いすやベッドなどの配置、動線など様々な検討を重ねて家づくりを行いました。

一方で、ご主人と奥様のご要望は “家族みんなが暮らしやすい家” 「家づくりはもちろん長女のためでもあるけど、それだけでなく、家族みんなの笑顔をつくるためなんです」と奥様。
そんなO様が辿り着いた「暮らしやすい家」とは?
インタビューをご覧ください。

酒井
諫早建設のことはインターネットで検索されたとお聞きしていますが。
奥様
そうです。バリアフリーとかそんなワードで検索した時に、諫早さんの以前建てられた「車いすと太陽の家」※を見て興味を持ちました。
酒井
バリアフリー専門の住宅会社や福祉関係の会社は考えなかったのですか?
奥様
そうですね、結局探しませんでした。イメージですが、専門の関係だと専門の所はしっかりやってくれるけど、家は普通になってしまいそうという感じがあって。それも嫌だったんですよね。まず、ちゃんとした、私たち家族が暮らしやすい家を建てる。その上でバリアフリーに対応する家にする、そんな観点で家づくりをしたかったんです。

“信頼 できるかどうか”が決め手に。

酒井
他に業者選びで考えた所はありますか?
ご主人
そうですね。予算は考えました。私は、はじめの頃はローコストメーカーでシンプルに最低限の家を建てれば良いのかな、とも考えていて実際話も聞きました。
酒井
どうでした?
ご主人
結局いろいろ試算するとあまり大きな差にはならなかったんですよね。これに酒井さんに教えてもらった初期費用や、スロープやリフトをつけるなんて話をしていたら最終的には金額も変わらない。だったら諫早さんにお願いした方がいいよね、って結論になりました。
奥様
でも、一番の決め手は予算ではなくて諫早さんを「信頼」できたからですよ。諫早さんに主人と一緒に話を聞きに行った時、帰ってきて「信頼できそうだね」って話をしていましたから。
酒井
どのあたりでそう感じていただけましたか?
ご主人
まずは高嶋さんの説明。とても論理的でわかりやすかった。私も仕事柄(システムエンジニア)話を論理的に積み上げて考えるのですが、そのように話をしてくれて。そこがまず他とは違いましたね。
高嶋
嬉しいです。
酒井
はじめ、奥様からご主人様のことを「予算にとても厳しい方」と聞いていたので、非常に緊張していたんですけど、お目にかかってみたら優しそうな方で安心しました。
ご主人
厳しいは厳しいですよ(笑)。でも、良いと思ったものにはそれなりにお金がかかるのは当たり前のことですから。良いものには出しますよ。

「長女が寂しくない家」 このテーマを出発点に、私たちのプロジェクトがはじまったんですよね。

奥様
あと憶えているのは、酒井さんが私たちの家づくりにテーマをくださった時。グッときました。「Eさんが寂しくない家にしましょう」って、私たちのやりたいことをパッと言ってくださったことが、凄く考えてくださっているんだなぁと、心があたたかくなりました。
ご主人
実際、私たちの生活のことを本当に考えていただいた間取りになったと思います。
奥様
みんながご飯を食べている時に長女が呼んでいるのに気づけるように、家族の集まるリビングと長女の部屋を繋いでもらって。キッチンからもすぐに気づけるレイアウトにしてもらいました。

仲が良いのはこの家のおかげ

酒井
住心地はいかがですか?
奥様
とてもいいです。例えば長女の部屋。夜通し一緒の部屋にいるので、色々と工夫があるんです。主人といろいろ話をして決めました。このプランだと少し私の居場所が厳しいよ…とか。
高嶋
そう、そのお話をお聞きして感動してしまって。ご主人様から「以前の家だと妻が長女の世話のためにしっかり寝られないこともあるから、少しでもゆっくり寝られる環境を」とお話いただいて。
奥様
そう、前の家では床で寝ていたんです。今はソファベッドで寝るようになって快適です。
ほら、ソファを引っ張るとベッドになるんですよ。快適過ぎて。実は今、子どもたちに場所を取られてしまうこともあるんです。
高嶋
お兄ちゃんですか?
奥様
そう、長男(兄)。でも、次男(弟)もかな。たまにお父さんも寝てるよね。みんなここに集まる(笑)
ご主人
そうだね。
奥様
この家のおかげだと思います。一番満喫しているのは長男かな?家づくりの時は特に意見もなかったのに、家に入るなりソファに座って「いや〜っいい!」って。1階がホテルで2階が自分の空間、みたいに言ってましね。夜、寝るギリギリまでみんなこの部屋に居るかな。
ご主人
そうですね。男衆は2階に自分の部屋をそれぞれ作ってもらって、大満足です。
奥様
みんな家バカ(笑)。

家族みんなのためのバリアフリー、おすすめです。

奥様
あとはバリアフリー。実は私たちにとっても良くって。お風呂もこんなに広くて「贅沢〜」みたいな。また、長女のリハビリの関係で毎日のように人が来るんですが、リハビリの時は扉を閉められたり、そういうオンとオフが臨機応変にできるのでストレスがないんです。
高嶋
良かった!
奥様
いろんな所、細かいところも測ったり、試したり一緒にしましたもんね。車イスはもちろん、リフトも一緒に見に行きましたし、洗面台も実際に高さを確かめたり。
高嶋
失礼な質問もいっぱいしたと思うんですけど、全部ホントに教えてもらって。Eさんにも、女性同士ということで許してもらって、お風呂に入れているところも見せていただいたり。
奥様
洗髪台が大活躍していますよ。お風呂じゃない日は髪を洗ったりとか、美容院みたいに。訪問看護の人も洗髪台を重宝してくれています。
私が言ったことだけじゃなくて、色々観察してくれました。それをちゃんと設計に入れてくれているんです。普段のイスの動かし方や、楽に動かせる段差の寸法まで測って。
ご主人
車いすの段差も、、妻はこの高さだったら普通にやっているけど、ここは○○cmで「よっこらしょ」とやっているから○○cmにしましょうとか、細かい所まで考えていただいて。
高嶋
新しい家で身体的な負担があってはいけない、それは最低条件だと思っていました。でもご主人様はじめ皆様の想いがあるからここまでカタチになりました。
酒井
介護って、お一人おひとり正解が違うので、都度勉強していかなくちゃいけないし、カスタマイズすればいいどころではなくて、その辺は大変だったと思うんですよ。でもこうやって、1年半経って「住みやすい」と言っていただけて家づくり冥利に尽きますよ。

高嶋さんの設計は「スペース」があるよね。「余白」が 暮らしやすさを作っている気がします。

ご主人
このなんでもないスペースがいいんだよね。
奥様
そう、高嶋さんが作ってくれた間取りはゆとりがあるんですよね。素人が考えると、あれも入れたいこれも入れたいでキツキツになりそうなものなんですけど「バリアフリーはゆとりが必要」とか「通路はこの位とっておかなきゃ」とか「車いすで通るならこのくらいの幅が必要」とかすごく考えてくださっていて。通れないとか、苦しいというのがほとんどないんです。
ご主人
一見無駄に見えるような空間も、ゆとりが必要なんだね。
奥様
暮らしやすさはこのゆとりがつくりますよね。どういう幅が生活を豊かにするか、さすが高嶋さんはよくわかってくれています。ちなみに、ここの何にもないスペースですが、今は次男がダンスしています(笑)。
おかげさまで「みんながいっぱい笑える家、寂しくない家」ができました。感謝しています。ありがとうございます!
酒井、高嶋
こちらこそ、貴重なお話をありがとうございました。